東京地方裁判所 昭和42年(ワ)10082号・昭42年(ワ)6586号 判決
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〔判決理由〕右事実によると、原告が本件土地の所有権を競落取得した時点において、建物乙、丙の所有者たる被告出羽は民法三八八条により本件土地につき各建物の利用に必要な範囲で法定地上権を取得したものというべきである。
原告は、建物丙が原告の本件土地所有権取得前に滅失したことを理由にその敷地について法定地上権は成立しないと主張する。
思うに、民法三八八条による法定地上権は抵当権設定当時存在する建物についてのみ成立するものであるから、被告出羽が建物甲(これは原告が本件土地と共に競落したのであるから、これに関しては元来法定地上権は成立しない)の滅失部分の跡地上に建物(二)を新築したからといつて、その建物のために法定地上権を取得するいわれはない反面、建物丙については、同被告は前記根抵当権設定と共に、既に、後日の競売の場合地上権者として土地の利用を継続し得られるべき地位を取得したのであるから、建物丙が後に滅失したとしても、その跡地に建物が再築され土地の利用を継続している以上依然として地上権者とみなされる地位を保持するものであり、原告の本件土地競落取得によつて法定地上権を取得したものというべきである。従つて原告の前記主張は採用できない。
しかしながら、右地上権を取得する土地の範囲は、滅失前の旧建物、即ち建物丙を基準として、これを利用するのに必要な範囲というべきである。けだし、旧建物が滅失しないで残存しておれば、その所有者は土地競売の際、その建物所有のためにのみ地上権を取得するに過ぎないのに対し、その滅失後再築された場合に新建物のため権利の内容が拡張される結果となれば、抵当権者が担保価値を算定し抵当権の設定を受けた際の予期に及することになるからである。従つて、本件の場合被告出羽は原告の本件土地所有権取得時において、建物乙のほか滅失した建物丙が存在したとすればその利用のため必要な範囲で本件土地につき地上権を取得したものというべきである。
(佐藤安弘)